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りょくの小部屋。*

りょくの好きなことを好きなだけ気ままに

Collar×Malice SS │冴×市 番外編│後編

◆乙女ゲーム ≫Collar×Malice ≫≫創作


こんばんわ、りょくです。

カラマリSSラストパートになります。今度こそ完結です!
市香ちゃんには幸せになってもらいたい
そういう一心で書いたつもりです。
とりあえず、読んでいただければ伝わるかなと思います。

「さよならの代わりに、ありがとう。後編」

 

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「こんにちわ、星野 市香さん。」

「・・・御國さん、こんにちわ。またお邪魔してます」

新宿苑の教会の主。
御國れいが微笑みながら市香の前に立っていた

もう彼との付き合いも10年目を迎えた―。


彼、冴木 弓弦の死を目の前にして今日で10年。
始めは毎日涙が止まらない日々を送っていて、ずっとここに足を運んでは声を殺して泣いていた
そんな御國も元アドニスの人間なことから6年という判決をもらい、【罪】を償ったその一人だ

主犯であった彼にだけ【死】という重い判決が与えられた―。


当然だ、全てのXデーの発端は彼の歪んだ感情だ。

哀しみの連鎖を止められなかった

教会の隅に設けられた小さな墓石には彼の名前が刻まれてる
世間では死んで当然と言われるだけの人を血で汚した
全てが間違ったことと思われるXデー事件


だが、彼女にとっては
それが全てとはいまだに言い切れない

 

(「・・・ほんっと、お前って、バカ。
お人よし。人の心配より自分のこと考えろ、このアホ。」)


(「ありがとう、最後まで私を支えてくれて―。」)

(「どっちの台詞だバカ。」)

何年経っても、どれぐらい季節が移り変わろうとも思い出す
もし、彼ともっと早く出会ってたら何かが変わっていたのだろうか?
今、隣にいたのかもしれないとときどきだが、市香は考える。

どうしてもこの季節になると思い出すんだ

「星野さん。」
そんな彼女に遠くからそんな様子を見ていた彼が声を発した。

「ん、なんですか?」
「あなたは今、幸せでいますか?あれからもう10年・・・あなたはゆづるにずっと会いに来てる。
もう直接話すことも、触れることも、笑いあうことも、もう何も出来ません。」


「うん、そうですね。どんなに私が願おうともそんなことはもう不可能です。」

「でも、御國さん。私はそれでも思うんです・・・」


「【ゼロ】が、冴木くんが変えたいって思ったこの世界は今でもココにあります。
確かに哀しみは【ゼロ】になんて出来なかった。
あの事件は人が真っ赤に染まる血塗れた事件としてこの日本で印象強く残ってます
でも警察官として否定すべきかもしれない、ダメだといわなくてはならない
だけど、私、星野市香個人としては冴木くんの選択は正しいとも思えてしまう・・・。」

「正しい、ですか?」

れいがそう彼女に問うと市香は少し複雑そうな表情をしながら
れいのその問いに少し考えると口を開いた。

 

「はい、確かに殺人は立派な罪で違法行為です。
だけど、罪から逃れた人間がいた、人の哀しみを利用して平気で生きてる人間もいる
守りたいという当たり前の感情で人を殺めてしまった子供たちも
大事な人を失った感情の行き場を失い、手をかけた子もいました。
そんな哀しい世界で生きる人間に【光】を与えたのが貴方たちアドニスのトップの彼だった―。」

れいには何を思い返しているのかは定かではない。
だけど、それがゆづるに関わることなのだけは分かる。彼女はゆづるにとって救いだった

もしかしたら、彼を変えてくれんじゃないかと淡い期待をしていた

だけど、いくら彼女でもゆづるを完全に救うことは出来なく彼は死んでしまった
ゆづるの死を目の前にして、彼女は絶対に笑顔を絶やさなかった
だけど、誰もいないこの場所に来るとそれが抑えきれなくなっていつも涙をこぼしていた
今だからこそ、彼の命日である今日にこうして昔話しが出来るが、当時はその強さに驚いた

 

「そういう所にゆづるは惹かれたのですね。」

「え?」

「あなたは強い人だ、けど完璧なわけじゃない。きちんと感情がある。
ゆづるを忘れるな、なんて私はいいません。
けれど星野市香さん、あなたは生きてるんです。私は貴方らしく生きて欲しいと思います。」


「冴木くんは、私に生きろっていった。お前が死んでどうするって
正直、あの日・・・冴木くんも守れたから死んで後悔はないと思った。
香月には死ににいくわけじゃないっていったけど
実際はそれぐらいの覚悟であの教会に足を運んだ―。」

 

 

(「星野!!星野!おい、お前が、死んでどうすんだよ!」)
(「・・・よ、かった。冴木、く、んちゃんと、生きて・・・る?」)
(「生きてるよ、生きてる!死んでないから、だから市香お前も生きろ!」)
(「・・・う、ん。」)

だけど、彼の生きろって言葉がどれだけ今の私の支えになってるか
死んでなお、私に頑張る理由をくれるなんて彼は酷い人だ。
仕事で疲れたとき、失敗したとき、同期と飲んで騒いでるとき
嬉しいことあったとき、その全ての出来事で思い出すのは彼の色んな言葉だ。


励ましの言葉や、一緒に喜んだ笑い声
酔っぱらってべろんべろんになって介抱していた記憶

そんな過去の思い出が今でも市香を支えてきた存在だ


そして、そんなどうしようもないゆづるのことが市香は今でも好きだ。

彼の代わりなんて決していない―。


だけど、れいのいうことも市香は理解していた。

 

 

「でも、確かに・・・分かってはいたんです。忘れることは出来ない。
けど、いい加減前を向かないと冴木くんにまた怒られちゃうなって、
心の中ではもう吹っ切れてると思ってたんですが思ったより私はずっと冴木くんが好きです。」


「・・・ゆづるが聞いてたら喜びますよ、ねぇゆづる。」


そうれいは彼のお墓に目を向けて懐かしそうに笑う。
それはそのはずだ、ゼロことゆづるの惚気に近いことを生前散々聞かされたのは
アドニスの誰でもない御國れい、ただ一人だ。今思えばそれも懐かしく哀しいことだ

そこには彼女の持ってきたお馴染みの白いアネモネが添えられて
その中の数本には赤いアネモネが混じっていた。


白いアネモネ花言葉は希望や期待。

赤いアネモネ花言葉は・・・、キミを愛する。
彼女と彼の最初の出会い花はどんな形であれ、赤いアネモネがこの教会に散らばっていた
ゆづるはその意味を知っていたのか、それとも無意識なのか、その真意はもう分からない


彼女が信じ続ける希望と長い間、想いを閉ざすことのない感情


なにも言われてないのに、れいはまたゆづるに惚気られた気分になった

(「なぁ、れい。」)

(「なんですか、ゆづる。また例の実験体の話しなら
私は、嫌というほど聞き飽きたので別の断罪者にでも話してください。」)

(「いや、待て。逃げるなれい。お前しかいないんだ。」)


(「嫌ですよ?またどうせ彼女のことですよね、【ゼロ】。
あなたはこのアドニスのトップです。ここが私以外立ち寄れない場だとしても
少しは立場を理解してください、何当然のことながらフード外してるんですか、全く」)


(「はいはい、れいは本当にお説教が好きだなー」)

(「誰が怒らせてるんですか、誰が・・・ゆづる彼女を気に掛けるのは構いませんが
貴方と彼女は立場が真逆だということ忘れないでくださいね。
なので、その感情が変な方向に行かないように気を付けてくださいよゆづる」)

 

(「― もう遅いんだけどなぁ・・・」)

(「なにかいいましたか、ゆづる。」)
(「いーや、なんでもない。じゃあ仕事するか・・・・・・星野市香さんこんにちわお久しぶりです。。」)

そうして実験体へのマイクのONにしたゆづるは【ゼロ】に切り替わって
市香に話しかけていたがそれは実に楽しそうで無表情を見慣れてしまってるせいか
その彼女だけに見せる表情で全てをれいは気づいていた。
れいはそっと、彼のいる部屋を音がならないように後にしたのだった。

 

 


「星野さんを見ているとまるでゆづるを見てるようですよ?」

「そう?」
「そうですね、ゆづると貴方は似てないようでそっくりです。」
「・・・そっか、ありがとうございます。」

 

 

「あ、そうだ。実は私、同僚のひとに飲みに誘われてたんですけど
今から行こうかと思うんですが、
れいさんも来ませんか?たまにはぱーっと行きませんか?」


「嬉しい誘いですが、私は遠慮しておきます。私はここが好きなので。
星野さん楽しんできてください」


「はい。」

「あ、星野さん。くれぐれも飲みすぎにはご注意を
ゆづるみたくなったら手に負えませんから。」

 

「・・・そうですね、気を付けます。ではまた来ます。お邪魔しました。
冴木くん、またね。皆と飲みに行ってきます。いってきます。」


そう市香は帰る頃にはなにか吹っ切れた表情をしていた。


自分らしく生きる。
市香にはまだそれを完全に理解したわけではない

彼がいなくなった世界で、
時には涙を流し、我慢しながらも前に前に進んできた
だけど、それがこの世界を捨てることではない。

少しでも哀しみがゼロに近づくことを願って彼女は生きることを選択した。
市香が彼を完全に忘れることはない、けどそれも少しずつ思い出に変えながら
彼が残していった色んな思い出を思い出しながら頑張っている


市香が去っていった教会ではれいと、ゆづるだけが残された


(「れい。俺は俺なりに幸せだったよ・・・」)
れいは一瞬、聞こえたようなゆづるのその声にふっと墓石を見つめた
幻覚か、それは定かではないがふっとれいは笑った。

 

「ゆづる、私もあなたといる時間は好きでしたよ。
それに星野さんの影響でしょうか、この世界も少しだけ好きになれました」


(「―そうか、ありがとうれい。星野のことよろしく頼む」)

「全く、最期まで惚気ですか、困った人だ・・・、頼まれましたよ。」


すでにいない
彼女を思いながられいは、雪が降ってきた空を見上げた


「「そんなことないです、白石さんのこの手は血で染められてなんかない。」

いつもの居酒屋に行くと、白石から聞こえた声に市香は思わずその手を取った
彼は目を見開いて驚いていたがそれは他のメンバーも同じで、
どうしてここにいるのか、と言葉にしなくても伝わってくる。
それを代弁したかのように白石がぼそりと言葉が漏れた。


「市香、ちゃんなんで・・・。」

「【用事】が終わったんでせっかく向井さんたちが誘ってくれたんで来ちゃいました」
「だ、大丈夫?星野、だって今日は―。」
「・・・大丈夫です。色々となんだか吹っ切れたんで、飲みたい気分なんですよ」

「・・・なんかふっきれた顔してるね」

「そうですか?まぁ、そうですね、いい話したくさん出来ましたから。」
「市香ちゃん・・・じゃあ飲もっか、あ・・・でも榎本くんみたいになっちゃダメだよ?
あれはダメなお手本だからねぇ~」

そう市香は白石が指を指す方向に視線を泳がすと
そこには無言でお酒を飲む、笹塚の隣に寝転がってスヤスヤ眠りにはいってる彼がいて
思わず、なにかを思い出したかのように小さくため息をつく彼女がいた。

 

「しょうがないひとですね~」

「大丈夫だ、榎本ならあとで俺たちが運んで事務所に送り届ける。星野に迷惑はかけない。」
「すいませんお役に立てず。」
「いや、構わないから久しぶりだろう
あいつらと飲みに来る機会など最近は減ったと聞く。混じってくるといい。」

そう柳は少し先にいる女子二人のほうに視線を送ると
そこに白石がちゃちゃを入れるかのように、でもさぁ、と言葉を吐き出す。

 

「まぁ、向井さんはすでに落ちちゃってるけどね~」

「え、もうですか?」
「そう、白石さんへのたまりにたまった不満ぶつけまくって沈没したんだよね」
「そうそう、面白かったよ。なんならまた俺の撲滅会復活させたら、俺が楽しいし」
「白石さんってそういうとこ、昔のまんまですよね~」
「そりゃ、どうもありがとう桜井さん。」

「褒めてないし・・・」

そんな様子に思わず、市香は小さく笑った。
この感じは久しぶりで、凄く居心地がいいのを昔から知ってる。

 


「ほーら、星野も飲め飲め!!」

「えー、桜井さん入れすぎこぼれますよー」
「ん?え、星野さんなんでいるんですのぉ~」
「あ、起きた向井さん?」

そうこんな
くだらないことでワイワイ騒げるこの空間が楽しいと思える市香だった


そんなことがあった今年の1月24日―。

市香は久しぶりに彼の夢を見た。どんな夢かは分からない
ただ、とっても幸せだった。

彼が傍にいて当たり前な夢の出来事。
いつもはあの日の出来事がリピート再生される哀しい夢で
起きた時には涙を流しているから、朝起きた時に驚いたんだ。

 

「よし!今日も、一日頑張りますか!」

「おまわりさん、おはようございます」
「はーい、おはよう。学校頑張っていってらっしゃい」
「うん、おまわりさんも頑張ってね~」

「ありがとう、気を付けるんだよー」

「はーい。」


そうして、また今日が始まった―。
新宿駅前、今日も人通りが多く人でありふれている

 
今の新宿は平和だ。あるべき姿にある
どんな未来があり、どんな過去があったとしても
彼女は前に進むだけ、これが市香の今の生き方だ―。

ねぇ、冴木くん。私はあなたと出会ってよかった―。

 



この世界は確かに壊れていた。
そうれいには感じられていた、今までは―。


「彼女が変えたんですかね・・・」
この世界で生きていくのも悪くない。そう思えるようになっていた。


あの約束から20年目。ゆづるが死して10年目―。
彼女はさよならなんて言葉は一度も口にしたことがない


ありがとう、それが市香のゆづるに対しての口癖だ。

 

「「・・・アドニスが大いなる感謝をここに捧げますよ。星野 市香さん。」」

―今日も明日も、そのあとも貴方が幸せでありますように


・・・私は今、とても幸せです。

 


「アドニスの花の夢。」&「さよならの代わりに、ありがとう。」

END(全6話・本編4話、番外編2話)

 

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言い訳という名のあとがき

はい、お疲れ様です。カラマリにハマって書き出した冴木くんと市香ちゃんのSS。
当初予定してたよりもかなり長くなり全6話の作品となりました
4話完結でしたが、本当にそれで彼女が幸せなのかという疑問があって
こんな形ではありますが市香ちゃんの支えが冴木くんであってほしいなという感じです

とりあえず、これで書くことは書き尽くしました満足!

これからの予定は他のキャラの1話完結型の短編書くかもしれないし
別作品でまたお会いするかもしれません


ではここまで読んでいただき、
ブックマークや評価していただいてありがとうございます

二人に祝福あれ―。


りょく

PS
ちなみにこの作品の勝手なイメージソングにしたのがこちらの曲


メリーメリー 歌いました【鹿乃】

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