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りょくの小部屋。*

りょくの好きなことを好きなだけ気ままに

Collar×Malice SS │冴×市(救済√) 2話

◆乙女ゲーム ≫Collar×Malice ≫≫創作


少しでも救いの可能性になるならば
今、ある感情を捨ててまで実行に移す
人形じゃない、人間でありたい、

そんな感じだと思ってます
続きになります、次回がラストに出来るかな~

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市香は疲れ切って、
思わず誰もいなくなったデスクにぐったりするように腕を伸ばしていた
住民からの電話対応にいつも以上に追われ、
通報に駆けつけ報告書を作成していて、気が付いたらこんな時間になっていた

だが、今の市香にはそれが好都合だった―。

数日前に起きた突然の出来事と自らの首につけられた首輪

 

誰にもいえない恐怖。

もし行ってしまえば楽になると同時に自分の命は消える
そんな現実に突きつけられる。

 

― 首輪のことを調べるのはご自由ですが、
それも我々に不利益と判断した時は星野市香さん。
あなたの結末は先日、話した通りな結果になりますよ?


そんなはずないと言葉でいうのは簡単だ。
アドニス、この世の中で彼らのことを知らない人間はいないだろう
実際に、アドニスの【駒】となった人間が存在して

そして、その彼はアドニスにいた記憶を一つも残さず消されていた

 

 

― まずはXデー事件のことを調べてください。
真実を知ればきっと貴方たちは今の正義を貫けなくなる
それでも我々の志に反するのが正しいと思えるか、見定めさせて頂きます。

星野市香さん、我々、いえ・・・私は貴方に期待しています。

失望させないでくださいね

 


頭に昨日聞いたばかりの声が今でも響いてる気がした。
加工された電子音のような声―。
首輪のことを調べてもいいが、まずは事件の真相解明させることをアドニスは望んでいた。

Xデー事件、この事件の裏に何があるのか?


「・・・ゼロ、か。」

一人だけになった部屋で再度聞かされた声―。

 


(「自己紹介がまだでしたね、私は【ゼロ】、以後宜しくお願いしますね。星野市香さん。」)
(「・・・なんのつもりなの?」)
(「特に意図などありませんよ?
交流を持つには【名前】が不可欠ですからね。それを示したまでです。」)


(「貴方は誰なの―。」)

どういう意図があるのか市香には分かるはずもなかった
犯人の心境など、だがふっと彼の姿が思い浮かんだ。
いつか、たとえその意図が分からないものだとしても寄り添わなければ救えない

警察学校時代に、銃撃に不安を覚えたとき同期がいってくれた言葉。

 


「あなたは、あなたたちはなにを考えてるの?」

そう問いても、首輪からはあの電子音は聞こえてこない。
そんなのアドニスに説いたところでまともな答えなど期待してはいけない


その問いの代わりに、聞こえてきたのは彼の声だった。

 


「ほーしの!!」

「え?うわっ!」

「おわっ!!

「え、あ・・・冴木くんか、ど、どうしたの、びっくりした・・」
「わりぃ、驚かせたか?」
「あー、ごめん。ちょっと考え事してて、冴木くんこそまだ残ってたの?」
「おう、さっき帰ろうとしたら通報があってな、
 なんだかんだでこんな時間になっちまったわけだ」

そんな彼は、あー疲れたと本来なら望田の椅子に腰かける。
彼は交番勤務で、市香とは同期でよく話す仲だ

 

「そっか、お疲れ様~」


「ああ、というかお前こそだいぶお疲れみたいじゃねぇの?」
「そんなことないよ」
「いや、そんなことあるだろう、大丈夫か?疲れてるのか?
 飯は朝は、昼は?晩飯は?ちゃんと食ったか?」


「ふふふ、」
そんなゆづるに彼女は思わず、小さな笑みを浮かべた。


「ど、どうした急に?」
「だって冴木くんなんかお母さんみたいでついね。」

「ちょっ、そこはせめてお父さんっていってくれよな」
「お父さんならいいんだ?」
「・・・・・・いや、よくはねぇけどさ」
「冴木くん、なんかありがとう。」

「おう。あんまり無理すんじゃねぇよ。
お前は考えだしたらキリがないんだからない頭で考えようとすんな」

「褒めてないでしょ?」


「いや、褒めてる!あ、そうだ、このあと用事あるか?」


「用事?ないけど、それがどうし「飲みに行こうぜ」
「え、いやでも「拒否権なし、考え込むより飲んで忘れようぜ」

 

だが、ゆづるは拒否権など与えないふりで
机にへばりついてる市香を引っ張り出して、いつもの場所に連れていった。
店内も仕事帰りのサラリーマンやOLで賑わっていて変わらない


そして、連れてきた本人もいつも

定番のこのパターンなのは困ったものだ―。






「おっちゃん、生をジョッキで二杯!」

「ちょっと、冴木くん!おじさん、生取り消しでお水くださいお水二つで!」
「はいよー、お嬢ちゃんも大変だねー」

市香はもう何本めなのか分からない生を取り消してお水に注文を変えた
それは店員のおじさんにもはっきり聞こえてたらしく
笑いながら、はいよーと答えてくれたのであった。

「もう冴木くん飲みすぎ!
いつも一人で歩けなくなるんだから控えめにっていってるのに!」

 

「そんなことないさぁ、お前も付き合い悪いぞぉー」

「十分付き合いました。飲みすぎてすでに落ちてる冴木くんに言われたくないから」
「そーかぁ」

「はいはい。」

 

「星野はやっぱいいよなぁ、うん!本当にいい女だ、さすがだ!
こないだ交番に勤務の奴と飲みにいってよ
俺が警察官になったのは世界平和のためだぁって言ったら
盛大に笑われてよ、酷いと思わないかよぉ?」

 

「どこがいけないつーんだよなぁー
純粋な夢を馬鹿にすんじゃねぇーってよ」

もうこうなった彼はどうしようもないから、そういう言葉にも動じない
酔うと本音なのか、その勢いがいつも増していくのだ
そうして、隣の席の人のジョッキを飲もうとしてる

その手を止めて謝った

 

「大丈夫、彼?」

「はい、いつものことなので。ありがとうございます。」
「俺のこと無視すんなよぉー」


「うん、そうだね。いい夢だと思うよ?地域の安全のために冴木くんいつも頑張ってるし」
「おう、そうだろうそうだろう、皆まとめて俺が哀しみを救うからなぁ~」
「そうだね、哀しいことなくなったらいいもんね」
「さすが星野話しが分かるぅ」


「・・・冴木くんさすがにもう飲みすぎだよ。もう帰ろう?」
「ふざけんなぁ、もう一軒行くぞー」
「行かないから、帰るよ冴木くん!」

「・・・。」

「冴木 弓弦くん!!」


「は、はい!!星野 市香さん!」


もう酔いつぶれるとまるでコント状態だ、まぁ嫌いでもないけど少し大変だ。
だが、その瞬間少しなにか、違和感を覚えた―。
フルネームでただ酔いのせいで呼ばれただけなのに何故か


― 以後宜しくお願いしますね。星野市香さん。


どうしてだろう、

なぜか、今あの声が脳内に聞こえてもないのに聞こえた気がした。
電子音の作られた声、【ゼロ】の声が―。
首輪からは何も聞こえないはずなのに、それだけなのに。

 

ふっと冴木くんを見ると
先ほど起こしたのが台無しになり、再び夢へと落ちていた。

 

(「なんだろう、この違和感―。」)

そう感じたのも束の間、彼をどうにかしなければこの後事務所に行くことも叶わない。
携帯がふっと鳴り、鞄から携帯を取り出すと
柳からメールが入っていた、いつ頃に来れそうかという連絡だった

それに軽く頭を抱える


「どうしよう・・・」

 


その視線には熟睡中の同期の姿がいて、こうなった彼はなにがなんでも起きない。
起きても、再び夢に戻るという少し酔うと、いや結構めんどくさいタイプなのだ。
数秒頭を悩ませて、柳に返信のメールを送ると同時に今度は電話の着信音が鳴る。

居酒屋を一回出て、携帯に耳を当てた。


「もしもし、柳さん。すいません。」

「いや、俺たちは明日でも構わないが何か問題か?」
「問題というわけではないんですが同期の人と飲みに来たら潰れてしまって」
「ああ、そういうことか。分かった、女子同士で飲むのもいいが控えめにしとけよ」
「え?あ、いえ「柳さん、少し聞きたいんだけど」

その瞬間、電話越しから笹塚の声が聞こえてきた。


「ああ、分かった。星野、じゃあまた明日事務所な。気を付けて帰るんだぞ」

「え、あ、はい。すいませんでした。」

 


そうして、ゆっくり向こう側から電話が切れた。
最後まで修正するタイミングを逃してしまったが
女子同士の飲み会と勘違いされたらしい
なにか問題あるといえば特にないのだが、問題はここからだと考えだす。

居酒屋の中に戻るとまた彼は起きる様子もない―。


ああはいったものの、実は彼の家を知らない。
いつも同じ同期の男性メンバーが酔った
ゆづるをどうにかしてきたからだ。


悩んだ挙句市香はタクシーを呼び、いつもの住所を告げた

 


 

そして、彼が目を開けたのは深夜すぎてからだった

時刻は1時過ぎ、夜も更け明かりは少ない
だけどもいつものあの場所とはすべてが違うことに気づく。
コンクリートだらけな壁じゃないことも、
冷え切った空気感もここには存在してなかった
生活感が溢れていた、俺の知らない当たり前―。

 

自分が寝ていたベッドをゆっくり抜けると頭が痛い。

調子乗って飲みすぎたなぁと実感する
実験者なのに、実験体として接してるはずなのにどうしてか気を許す。
リビングに足を運ぶとソファーで無防備な表情で寝ている市香がいた。


女が男を自宅に連れていくとか、注意力なさすぎ


そんなこと思うけどそう思う資格すら本来はないのだ。

 

「星野・・・いつかお前は俺へたどり着くのか。」
ゆっくり自身がつけた首輪に触れて、みる。


自分が犯したことだ、自分が市香に成した呪縛―。
戻ることなんて不可能だし、戻ろうとも思わない
もうあの10年前からこの計画は実行されてる、【悪】を消すことが俺の仕事。

世に溢れてる【哀しみ】を断ち切るのが理想の夢

 


「私を・・・殺してください。星野、市香さん。」

まだ起きる気配のない彼女に電子音ではない肉声で
無意識に呟いていた。
なにを夢を見てるのだ、誰も救いなんてないはずなのになにを期待してる
あの時の答えを答えるのなら

「我々は、哀しみを消したいのです。そして・・・・・・俺は、救われたい。」

 


声にならない声で絞り出したその声はなにを示してるのか。

夢の中にいる彼女はそれをまだ知らない。
ゆづるはゆっくりと
立ち上がると一枚の置手紙を書くとその部屋を後にした。

― ありがとう。世話になった。


ただ、その一言だけ残して、
出来ることならこの暖かな空間にもう少し浸りたかった

 

だけど、違う。

【ゼロ】の居場所はこんな暖かな場所ではない
あの冷え切ったような氷のようなあそこで十分だ。




「ゼロ、おかえりなさい。ずいぶん遅いお帰りですね。」
「少し、飲みすぎただけだ。」
「ゆづる、あなたは彼女をただの実験体として見てるのですよね。」
「それが、どうした?」


「いえ、なんでもありません。」


そうれいがいうと彼は奥にある部屋へと足を動かして消えていった。
ここはアドニスの【楽園】、【箱庭】というやつもいる―。
彼の去って行ったほうに目を向け、そしてれいは思う。


ゆづるは人間の感情を失ってるように見えた。

冴木 弓弦でいるときの笑顔は作りものの人形だ。
だけど、その人形なはずのゆづるの人間らしさを見れるその時は
必ずといって、彼女・・・星野市香と共にいるときだけなのだ。


彼女が、変わってしまった【ゼロ】を救ってくれるのだろうか?

 

れいとゆづるの価値観は少しずつ変わっていった

れいの考える理想と、ゆづるの考える理想は離れていっていた
現に予定のなかった【悪】の裁きが現に行われ、命を絶っている―。
少しずつ、アドニスの中で変化が訪れようとしていた

 

 


「なにものでもないんだ、俺は。」


部屋に戻ったゆづる

そこは牢獄のように冷たくてなにもない。
あんな感情いらないんだ、不要なんだ。

哀しみを消し去るにはまだ足りない、まだまだ―。

 

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あとがきという名の言い訳。

どうすれば幸せになることが出来るか
彼なりに考えがあり、感情があると思うんです。
白石さんもそうですが、彼らは決して「人形」なんかじゃない人です

それをメインにしたつもりです

見方にとってはラストは悲恋、でも幸せ、そんな感じを目指すだけ

りょく


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